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力の意義、勝利の定義

2009年07月28日 16:22

―――夜、屋敷と学生寮双方の場所からそう遠く離れてない河原。


街灯もひと気もないその場所に、一つの小柄な人影。
ごそりと一振りの細長い代物を袋の中へしまうと、つ――と頬を伝った一滴の汗を手の甲で拭う。
溜息を一つ溢すと、巾着からタオルを取り出し汗を拭いた。

大きめの石を椅子代わりに腰掛け、竹刀袋を抱くように持つ。
視線はやや下に、地面へと向く。その先は石ころと砂利の絨毯しかない。

己の遣り方を貫いたままで、皆と同等に戦うには――

ずっと考えてきたことだが、答えなど疾うに出てる。
強く成るしかないのだ。更に、更に上を目指すのみ。
だが頭で理解してても事実そうはいかなかった。どうしても余儀ってしまう。

一歩進めたと思いきや、現実に無力さを叩きつけられる―――
その繰り返し。割り切ったつもりでも慣れるものじゃなかった。

人斬り、という現実から決して逃れる事は出来ない。逃げるつもりもない。
其れに立ち向かう為に、殺すことを止め、殺させることを佳しとはせぬ道を選んだ。
だが、あまりにも険しい道で。一歩進めてるのかどうかもよくわからない。
或いは、立ち向かってるのではなく、俺は逃げてるのでは―――

――いつの世も勝てば官軍
――正義の定義は勝者が決める

勝った方が強い、強いから勝った。そういう勝利はいらない。

――なら勝ち負けなんて些事にこだわってることもないのではないか
――負ければ何を言っても遠吠えになってしまう

だからこそ、俺は強く在らなければ成らぬ。

――どういう勝利を望むのか

この剣で、誰も殺さず殺させず。一つの犠牲もない勝利。

――ゴーストを狩るのは殺戮じゃないのか

そう、殺戮だ。今だに人斬りを続けてる俺。敗北ばかりで、唯の一度として勝利はない。

――それはただの自己満足

それでも信念は曲げられぬ。薄っぺらいものだとしても。
偽善、詭弁、欺瞞―――変えようのない三つの事実、既に背負う覚悟など出来ている。

だがもしこれから、第二次土蜘蛛戦争……今冶市解放戦の時のように、
“本気”ではなく“全力”で絶ち合う時が来るなら、人を斬り命を殺す時が来るなら、それは、


信念を貫いて死ぬあなたより、帰ってきてくれるあなたを――



――止めよう。

考えた所で道を変えるつもりはない。
今はそんな事を考えるより、ただ剣を振るい歩みを進めるだけ。
と、彼の思考の中断を合図にしたかのように、くぐもった衝撃音がした。

―――、

空に浮かんだ、それぞれの色。七色の花。光り輝く華。
それは、顔を上げた紅葉の瞳に映り、少し沈んでた気持ちを吹き飛ばしてくれた。

「花火、でござるか……」

呟きは、空に咲き続ける花と共に消え去った。
 
 
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信じた答えを信じるために

2008年10月01日 00:20

今治市解放戦線についてのショートストーリー。


興味がある人は、下記へドゾー。(’’



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